日本に電子書籍は来るのか?

みなさんは、普段、電子書籍を読んでいますか?

私は、普段は読んでいません。多分、日本人の大多数は、電子書籍を日常のものとして、感じていないのではないでしょうか?

詳しい方は、すでにご存知と思いますが、電子書籍の先進国アメリカでは、すでに電子書籍が紙媒体を上回った事例も……(2011年3月アマゾン発表)

しかし、日本ではまったく流行らない。せっかくEPUB3という日本の事情にマッチした規格まで登場したにもかかわらず、一向に流行の気配を感じさせません。

そこには、さまざまな事情の違いがあるのです。その事情とは……。

電子書籍の価格

もし、あなたが本を読みたいと思ったら、本と電子書籍のどちらを買いますか?

多くの人が本と答えるでしょう。

では、電子書籍の価格が本の半値だったら?

私なら迷わず電子書籍と答えるでしょう。電子書籍を選ぶという方は、先ほどよりもきっと多いはずでしょう。

しかし、電子書籍を読むためには、スマートフォンを利用する方もいるでしょうが、私の場合はやはり専用の電子書籍リーダーかタブレットを用意するでしょう。

だからきっと、5〜10冊ぐらいの本が今後も電子書籍が本の半値で買えるのであれば、数千円〜1万円程度する専用の電子書籍リーダーを思い切って購入するかもしれません。

つまり、アメリカにはこの環境が整っているのです。だから、電子書籍が売れるのです。電子書籍の方が本よりも圧倒的に安いということが浸透しているのです。

ところが、日本の場合は……。

多分、日本の本と電子書籍の価格差は10%以下でしょう。つまり、本の価格が2500円であったら、その電子書籍版の価格は、2400円前後がほとんどです。

本と比べて100円しか変わらない電子書籍をわざわざ買うでしょうか?

私なら買いません。しかも、電子書籍を読むためには、電子書籍リーダーが必要です。

この違いは、なんなんでしょう? なぜ、アメリカでは、本の半値で電子書籍を販売できるのでしょう?

それは、電子書籍は印刷したり運搬する必要がないからです。

本は、印刷し、それを運搬し、販売します。ですから、1冊あたりに多大なコストがかかっているのです。

それに比べ、電子書籍はどうでしょう。

印刷もしないし、運搬もしないですね。だって、ダウンロードするだけですから。多分、本にはないコストといえば、電子書籍制作料とわずかな流通コストがあるぐらいでしょう。

つまり、本の印刷・運搬・販売にかかるコストよりも電子書籍制作料は大幅に安く、なので電子書籍の価格を安くできるのです。本の半値ぐらいが、ちょうど良いということでしょう。

では、日本では、なぜ電子書籍を半値にできないのか?

そこには、いろいろな要因が見え隠れします。

業界保護

まず、業界保護でしょう。

本が売れなくなるということは、その書店、印刷業界、さらに出版業界は、さらに苦境に立たされることになるでしょう。

日本の場合、著者→出版会社→印刷会社→書店 という強固な流れがあります。

アメリカの場合は、書店が日本に比べて圧倒的に少ない事情があります。

著作権の問題

次に、著作権上の問題です。

本の内容の著作財産権は、もちろん著者にあります。では、著者に「電子書籍にしませんか」と持ちかけて、電子書籍化に至るかというと、そう簡単には行きません。

著作者は著者ですが、日本の著作権の中に出版権という権利があります。通常、本を出版するときには、出版社と出版権の契約を結びます。その著作物を出版したものに与えられる権利で、これがあるからひとつの作品は、一社の出版社からしか出版できないわけです。

しかし、現在この出版権には、電子書籍出版に関する事項がありません。

例えば、著者がすでに出版済みの本を他の会社で電子書籍として制作・販売しようとしても、出版社が出版権を持っているので、出版社が許諾をするはずがありません。

逆に、出版社が著者に電子書籍として販売するためには、新たな契約が必要になります。

有名な作家であれば、電子書籍化するための新たな契約を結ぼうとするでしょうが、一般的には新たな契約を交わす労力と電子書籍化するための費用を使ってまでも、電子書籍化する理由がないのが現状です。電子書籍化してどれだけ売れるのかというと、現在では、よくて本の数%程度でしょう。

結局、出版社は、本が売りたいのです。電子書籍を半値で売ることは、やはり今まで本の流通でやってきた構図を大きく変えることになり、各業界に及ぼす影響は多大です。

日本の本の売上の緩やかな下落は、出版社をまだそこまで追い込んではいないということでしょう。

アメリカの場合は、この出版権と似たような権利に電子書籍の内容も含まれています。つまり、出版社が本と同時に電子書籍も出版できます、というかそれがすでにスタンダードです。著者は、本と電子書籍でより多くの印税をもらうことができ、出版社はKindle StoreやApple Storeを通じて、すぐに販売することができます。

日本に電子書籍は来るのか?

日本で電子書籍が一般化するためには、高い壁がいくつもあります。

果たしてこんな状況で、日本で電子書籍が使われる時代は、来るのでしょうか?

私は来ると思います。消費者にとって、電子書籍による恩恵は、計り知れません。

日本の独特の事情によって、この流れを止められるでしょうか。

いいえ、ニーズのあるところには、必ず市場が生まれると思います。

出版社の働きかけにより、ようやく出版権の拡大解釈として、電子書籍も含まれるよう法整備がされようとしています。これで、出版社は、大手を振って電子書籍化できるわけです。この流れ自体が、出版社の意識が変わってきていることを感じます。

そもそも電子書籍の時代が到来するということは、本がなくなるということではありません。

本にも電子書籍にも、それぞれにいいところがあると思います。どちらを選ぶかは、ユーザーが選択するべきです。

きっと、電子書籍が本の半値で販売されたら、私は電子書籍を購入し、その量は倍増すると思います。

そして、もっと詳しく読みたいもの、腰を落として読みたいもの、マークしたいものは、本を買うでしょう。

私の場合だけで言えば、書籍にかける金額は、増えるでしょう。

今後、日本では、本の執筆を目指すのではなく、電子書籍の執筆を考える人が増えるでしょう。

電子書籍から始めて、それが売れる、そして本になる、そしてまた売れる、という流れが少しでも出てくれば、間違いなくこの日本の状況は変わらざるを得ないでしょう。

近い将来、そのような方が出てくるでしょう。なぜなら、電子書籍の出版は誰でもできるからです。ぜひ、電子書籍から芥川賞・直木賞作家が出てほしいものです。

(余談)電子書籍著者の視点

さて、最後に私の場合の電子書籍の考え方です。

私もある内容を電子書籍化しようと考えています。

例えば、出版社にその内容を持ち込んで、運良く書籍化に至り、1冊2500円で販売されたとしたら、きっとその印税は1冊100円程度でしょう。

私が考えている内容は、多分日本では何万冊という単位では、売れません。もし、運良く5000冊売れたとしても、印税が1冊100円の契約なら、合計50万円です。

私はこの内容に、多くの時間と労力をかけています。50万円で満足できるわけがありません。

ですので、電子書籍化を考えています。

例えば、この内容を先ほどの半値の1冊1250円で、電子書籍として販売します。もし、運良く1000冊売れたら、それだけで100万円近くの収入になるはずです。

今回の内容に関しては、本の執筆者というステータスよりも、私にはこの算出の方がずっと魅力に感じるのです。

電子書籍で需要があったら、それから本にするかどうか検討しても、遅くはないと思います。

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